現在,この研究室の学生が取り組んでいる研究テーマは,
「ボルテックス・リコネクション」,「テイラー・クエット流れ」,「レイリー・ベナール対流」,
「ボルテックス・バースティング」,「ファイア・トルネード」などです.
研究手法には,主に数値シミュレーション(コンピュータ・シミュレーション)を用いています.
今や数値シミュレーションは,実験,理論に次ぐ第3の研究手法とも呼ばれ,コンピュータの性能向上とともにさまざまな分野で大きく活躍しています.
渦や乱流・乱流燃焼のような問題の数値シミュレーションに興味のある人,特に学部を卒業後,さらに山形大学の大学院まで進学して研究を続けてやりたいという人に,ぜひ,来ていただけたらと思います.
以下では,主な研究テーマについて簡単に説明します.
卒業研究(学部4年生),修士論文・博士論文研究(大学院生)
「ボルテックス・リコネクション」
乱流の中では,たくさんの渦が動き回っていることがわかっています.
当然,場合によっては,逆回転の2本の渦が衝突することもあります.
そのときに起こるのが「ボルテックス・リコネクション」という渦のつなぎかえ現象です.
この現象は,乱流の素過程を理解するためのカギとなる重要な現象ですが,
詳しいメカニズムはまだわかっていません.
そこで,この研究室オリジナルのアイデアと数値シミュレーションを用いて,
「ボルテックス・リコネクション」の問題を解決しようと試みています.
自動車や航空機のボディの抵抗低減などにも関連する乱流の素過程の基礎研究です.
「テイラー・クエット流れ」
「テイラー・クエット流れ」とは,
二重円筒の隙間に満たした水などの流体に対して,
内円筒などを回転させたときに生じる流れのことです.
この流れは,内円筒の回転速度を大きくしていったりすると,
渦輪(リング状になった渦),波打つ渦輪,乱流という順に流れの構造が遷移していきます.
この現象も,乱流の素過程を理解するためのカギとなる重要な現象ですが,
詳しいメカニズムはまだわかっていません.
そこで,この研究室オリジナルのアイデアと数値シミュレーションを用いて,
「テイラー・クエット流れ」の問題を解決しようと試みています.
よく知られている乱流遷移の代表的な問題の基礎研究です.
「レイリー・ベナール対流」
「レイリー・ベナール対流」とは,
二平板間に満たした空気などの流体に対して,
上面を低温,下面を高温にしたときに生じる自然対流のことです.
この流れは,上下面の温度差を大きくしていったりすると,
ロール渦(直線渦)からベナール渦(渦輪)へと渦のパターンが遷移していきます.
この現象も,乱流伝熱の素過程を理解するためのカギとなる重要な現象ですが,
詳しいメカニズムはまだわかっていません.
そこで,この研究室オリジナルのアイデアと数値シミュレーションを用いて,
「レイリー・ベナール対流」の問題を解決しようと試みています.
よく知られている乱流遷移の代表的な問題の基礎研究です.
「ボルテックス・バースティング」
先ほども述べましたように,
乱流の中では,たくさんの渦が動き回っていることがわかっています.
今,可燃性ガスでできた乱流の中の1本の渦に点火するような場合を考えます.
そのときに起こると考えられるのが「ボルテックス・バースティング」という
渦に沿って火炎が高速に伝播する現象です.
この現象は,乱流燃焼の素過程を理解するためのカギとなる重要な現象ですが,
詳しいメカニズムはまだわかっていません.
そこで,この研究室オリジナルのアイデアと数値シミュレーションを用いて,
「ボルテックス・バースティング」の問題を解決しようと試みています.
各種エンジンの性能向上などにも関連する乱流燃焼の素過程の基礎研究です.
「ファイア・トルネード」
「ファイア・トルネード」あるいは「火災旋風」とは,巨大な炎の竜巻現象のことで,
山林や市街地などの大規模火災時に発生すると甚大な被害をもたらすことが知られています.
この現象のメカニズムを解明し,発生抑制や被害低減につなげることは,
人命に係わる極めて重要な課題ですが,詳しいメカニズムはまだわかっていません.
そこで,この研究室オリジナルのアイデアと数値シミュレーションを用いて,
「ファイア・トルネード」あるいは「火災旋風」の問題を解決しようと試みています.
防災や安全の分野に関連する基礎研究です.
「いろいろな機械・航空宇宙関連CFD」
今後,自動車や航空機のボディ外部の流れ,エンジン内部の流れなどの「いろいろな機械・航空宇宙関連CFD」も少しずつやっていければ(?)と考えています.
ご注意を
なお,昔も今も時折,私たちが苦労して提案した研究のアイデアの一部をすぐに盗用しようとする研究者も見受けられるようです.
私たちの研究のアイデアと極めて類似したアイデアを,適切な引用もせず,
まるで自分たちで考えたアイデアであるかのように偽って論文発表したり,あるいは研究費獲得したりすれば,研究不正行為となる可能性がありますので,注意してください.
フェアにやりましょう.